避けるべきM&Aでよくある失敗とは?

企業が成長を果たすために重要な手段の一つとして、M&Aが挙げられます。一方で、M&Aの難易度は高く、一般的に3割程度の成功率と言われています。では、なぜM&Aは失敗してしまうのか。

本記事では失敗例に着目し、なぜ企業買収が上手くいかないのか、成功するには何を手掛けなければいけないのかをご紹介します。

失敗例①:M&A戦略が検討不十分で、目的の設定がないまま紹介案件を進めてしまう

M&A案件がスタートするにあたって、能動的にスタートできる(または準備が十分な)企業と、受動的にスタートする企業に分けられます。

後者については、多くは(a)普段の事業活動をしている中で、サプライヤー、顧客、関係会社等の様々なステークホルダーから入ってきた情報をもとにM&Aに発展するケースと、(b)証券会社等の外部のアドバイザーから入ってきた情報をもとに検討を開始するケースが多いと思います。

(a)については、既に接点のある企業であることが多いため、対象会社のデューデリジェンスなくとも、一定程度事情を把握しているため、”比較的”成功確率は高いかもしれません。

一方で、(b)については、通常の接点から想定できない案件が持ち込まれる可能性もありますが、デメリットも大きい傾向にあります。まず、十分な準備ができていない中での検討となり、十分な合意ができないまま見送りになることもあります。反対に、そのような案件は買い手間での競争が激しく、高値で買ってしまうということも大いにありえます。

あるべき姿としては、事前にしっかりと事業戦略を立てたうえで、その中でのM&Aの位置づけや目的を明確にしておき、その目的に沿って能動的に企業のリストアップやタッピングを進めていくことが望ましいといえます。

失敗例②:対象会社の事業性の見極めが十分でなく、楽観的なバリュエーションを行ってしまった

十分な準備がない状態で、案件の検討をしてしまって割高な価格で買収してしまうこともよくあるミスとして挙げられます。プライベートエクイティファンドなどでよく「投資の成否は買値で決まる」等と言われることがあります。プライベートエクイティファンドは、投資した会社をバリューアップさせることが本質的な価値の出しどころである中で、そのような言われ方がするほど、「いくらで買うか」が重要であるということです。

適正な価格で買収するには、事業の観点でいえば、対象会社がどのように競争優位性を築いているか、儲けのポイントは何か、対象市場の将来性はあるか、将来の利益・キャッシュの創出力はあるか、といった観点をしっかりと検討することが重要です。

一方で、それらの検証プロセスはデューデリジェンスと言われますが、基本的には検討する時間が限られていることが多く、事業性や競争環境について、全て網羅的に調査することはできません。そのため、検証ポイントに優先度をつけつつ、高い優先度の論点を中心に徹底的に深堀していく必要があります。また、その際に、自社が対象会社にどのような価値を出せるかというシナジーやバリューアップ施策についてもしっかりと検討しておき、定量的な数字で把握しておくことも重要です。

失敗例③:買収後にシナジーやバリューアップが実現できない

主な失敗例として、買収後のPMI・バリューアップフェーズでの失敗が挙げられます。上記の通り”投資前”に、シナジーやバリューアップ施策を検討済みではあるものの、限られた情報を基にした施策であるため、投資後に再度、施策を精査していくことが望ましいといえます。

よく「PMIは経営そのものだ」と言われますが、その会社全体をしっかりと理解したうえで、様々な統合プロセスを進めていく必要があります。そのためには、様々な分科会を発足させ、様々な検討を同時並行的に進めていきます。よくある分科会として以下のようなものが挙げられます。

(分科会一例)

  • 経営企画分科会
  • 営業分科会
  • 研究開発分科会
  • 調達分科会
  • 人事分科会
  • 総務・法務分科会
  • 財務・経理分科会
  • リスク管理分科会
  • 内部統制分科会
  • 情報システム分科会 等

それらを管理していくためには専門のチームが必要であり、PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)も設置して、プロジェクトの進捗管理をしていくことが望ましいです。PMOチームが全体のプログラムを統合的にコントロールし、必要な意思決定を行い、進捗管理をし、進捗が遅れている検討のサポートやてこ入れをしていくことが重要になります。




以上、本記事では失敗例に着目し、なぜ企業買収が上手くいかないのか、成功するには何を手掛けなければいけないのかをご紹介しました。

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