新規事業検討よくある失敗 ~定義・ゴールのズレ

新規事業の検討を開始する背景は各企業や部門によって様々ではあると思います。一方で、実際に担当チームが事業アイデアを検討し、役員に提案しにいってもなかなか思うように進まないのが実情だと思います。例えば、ある役員から「そんな距離感のある事業へのチャレンジはリスク」という指摘が入ったかと思うと、別の役員からは「新規性がない」などの真逆の反応が出ることはよくある話です。

この原因には、関係者間での新規事業の定義やゴールイメージがズレていることに起因することが多いと思います。

「新規事業」という言葉の定義のズレ

新規事業と言ってもその定義は、人によって異なり、既存事業における新しいセグメントに進出することと捉える人もいれば、既存事業とは製品も市場も全く関係ない事業を新規事業と捉える人もいます。関係者間で共通認識を形成していないと、いつまでたってもかみ合わない議論が続いてしまいます。

新規事業を定義する枠ぐ組みは様々存在します。アンゾフのマトリクスを例にとりますと、(既存市場・新規市場) × (既存製品・新規製品)の4象限において、どこを中心に検討していくのかを定まめるだけでも、何もしないよりは認識のズレは小さくなります。

実際には、全社レベルで検討するのか、事業部門レベルで検討するのかによって、適切なフレームを作成し、その中で中心的に検討すべき範囲を最初に決定していくことがよいかと思います。

「新規事業」のゴールイメージのズレ

続いて、新規事業の目的や方針などゴールイメージを決めずに走り出してしまうことも問題であるといえます。その新規事業について、「会社にとっての意義」「目指すべき規模・収益性・成長性」「時間軸」など様々な観点を”最初に”決めたうえで走り出すことが理想と言えます。

「会社にとっての意義」については、例えば業態の転換を企図するものなのか、あくまで既存事業を支えるサブ事業を創るのか、多角化によってリスクヘッジを図るのか、多岐に渡ります。

「目指すべき規模・収益性・成長性」については、例えば売上規模でいけば、10億円レベル、100億円レベル、1000億円レベル、1兆円レベルと、目指すべき規模によって大きく検討ないようが異なってくることが容易に想像できるかと思います。

「時間軸」も重要であり、2~3年で新たな事業として確立されたものを目指すのか、10~20年といった長期で物事を考えてもいいのかによって、大きく検討内容が異なってきます。

また、社長・役員クラスなどの最終意思決定者がイメージしている「新規事業の落としどころ」についても把握しておくことが望ましいです。この段階で、明確なイメージはないことが多いかと思いますが、「Aの事業領域での事業を創りたい」、「X社の事業に近いものをイメージしている」、「Bの事業領域は避けたい」というレベルの話であれば、イメージされていることが多いかと思います。そのような設定がない状態で走り始めてしまっては、的外れな検討に時間を割いてしまいかねません。

よくある話として、 ビジネスプランコンテストのような形で様々なアイデアを集めたが、アイデアの粒度や方向性がバラバラで、本格的に次に進めていくものがほとんどなかった、または0だったということは往々にしてあります。そのような事態を避けるためにも、最初にゴールイメージの設定が重要であります。



以上、本記事では新規事業のよくある失敗として、新規事業の定義・ゴールのズレを紹介しました。

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