競争優位を構築する ~2つのタイプの差別化
競争戦略の本質は他社との違いを作ることです。経済学的な観点で言えば、完全競争の世界では利益は出ませんので、利益が出ているのであれば、それは何かしらの差別化が出来ていると捉えることもできます。
また、その利益が業界平均水準以上であるとすれば、業界平均プレイヤーよりもうまく「違い」を作れているという解釈もできます。
一方で、「他社との違いは?」と聞かれたときに、「他社と比べて品質が良い」「他社よりも軽い」「よりも耐久性が優れる」「他社よりもサービスが良い」等、程度の違いが出てくることが多いと思います。
しかし、程度の違いというのはあくまで「差別化」の一側面でしかありません。
2つのタイプの差別化
競争優位を生み出す「違い」はざっくり言えば、以下2つに分類できます。
・種類の違い (ポジションの違い)
・程度の違い (組織能力の違い)
種類の違い (ポジションの違い)
種類の違いは「ポジション」の違いと捉えることができ、やっていること自体が他社とどう違うのかという観点に答えられるものになります。
例えば航空業界の例でいえば、大手エアライン会社に対して、サウスウエスト航空はハブ・アンド・スポーク(中心地とそれに繋がる地域拠点)ではなく、ポイント・ツー・ポイント(直接経路)の運航を行っています。
大手がやっていることを「やらない」意思決定をすることにより、低価格というベネフィットを実現できています。
別の例でいえば、DELLのビジネスモデルも有名な例です。直販モデルの採用やコモディティ領域にしか手を出さないこと等を意思決定しており、低価格を実現しています。
これらの例からもわかる通り、種類の違いを語る際には、何をしないかにフォーカスした答えが出てくることが理想です。
程度の違い (組織能力の違い)
程度の違いは、組織能力の違いと捉えることができ、他社とどのくらい違うのかという観点に答えられるものになります。
ここで注意が必要なのが、「顧客が重視している観点」において 、「他社よりも優れている」ことが重要なのであって、自社起点の自己満足な差異は差別化要素とは言えないということです。
顧客が「重視してない観点での差異」や「重視している観点であっても認識しにくいレベルの違い」程度のものであれば、その差異に意味がありませんので、徐々に単純な価格競争に陥っていきます。
オペレーショナルエクセレンス(Operational Excellence)という言葉も、この程度の差異を表す言葉の一つです。
例えば、有名な例ではトヨタ自動車の生産方式も、効率性、品質管理、ムダの排除などの面で極めて優れたオペレーションが確立出来ており、これも優れた程度の違い (組織能力の違い) を表す例と言えます。
以上、本記事では2つのタイプの差別化を紹介しました。
これら2つの違いを認識した上で自社がどのように差別化を図っていくのかを追求していく必要があります。
事業戦略・計画の議論をする際には、この2つの違いについて共通認識を持ったうえで議論することで、かみ合わない議論を避けることができます。
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