価格感応度の低い8つの顧客特性
収益性を高めるためには、単純化すると「コストを下げる」か、「単価を上げるか」の2つの方向性になります。
後者の単価を上げるアクションは、これまでの日本経済においては難しいと認識されておりますが、一方で価格感応度の低い顧客が存在するのも事実であり、そのような顧客に対しては単価を上げやすいというもの事実です。
本記事では、原理原則に立ち返り、ポーターの「競争の戦略」に基づき、価格感応度の低い顧客特性を紹介します。
これらの情報を活用し、今後の競争優位を築くための戦略検討に役立てていただければと考えています。
価格感応度の低い顧客特性
1. コスト全体に占める仕入れ品の割合が小さい場合
2. 欠陥製品に対するペナルティーがその価格に比べて大きな場合
3. 仕入れ品が買い手に大幅なコストダウンや効率向上をもたらす場合
4. 高品質戦略をとっている買い手の場合
5. 特注品の場合
6. 買い手側が莫大な利益を上げている場合
7. 仕入れ品について充分な情報を持っていない場合
8. 仕入れ決定者の関心が価格以外の場合
1. コスト全体に占める仕入れ品の割合が小さい場合
買い手の観点で、コストインパクトが小さい仕入れ品の場合、価格交渉に費やす工数は少ない傾向にあります。
逆に、高額品の購入には、より多くの労力を費やします。
例えば、企業がコストインパクトの大きい仕入れ品を購入する場合、専門の担当をつけたり、管理職の承認を必要としたりしますが、安価な製品の購入には特定の専門職がいないことも多いです。
2. 欠陥製品に対するペナルティーがその価格に比べて大きな場合
仕入れ品に欠陥があり、そのペナルティーが大きい場合、買い手は価格交渉についてあまり敏感でなくなる傾向があります。
これらの買い手は、価格よりも品質に強い関心があり、高品質に見合った価格を支払う意向を持つ傾向にあります。
3. 仕入れ品が買い手に大幅なコストダウンや効率向上をもたらす場合
仕入れ品やサービスが、買い手側の時間や経済的メリットをもたらしたり、買い手製品の機能を高めたりする場合、買い手の価格に対する関心は低くなります。
4. 高品質戦略をとっている買い手の場合
高品質戦略を採用している企業は、価格ではなく、仕入れ品の品質を重視します。
仕入れ品が自社製品の機能向上に寄与したり、ブランドが自社製品の権威を高めたりすると考えられる場合、価格は二の次になる傾向にあります。
5. 特注品の場合
特別設計を要求する買い手は、それに見合ったプレミアム価格を支払う意向があると言えます。
特定の仕入れ先に頼ることになり、その仕入れ先と良好な関係を維持するためにプレミアム価格を支払う傾向があります。
6.買い手側が莫大な利益を上げている場合
莫大な利益を上げている買い手は、仕入れ品が高額なものでない限り、財政的には困窮していません。
そのため、他社と比べて価格感応度は低い傾向にあります。
大きな利益を上げている相手は、売り手にも公正な利益を保証したいという意向もあり、それゆえ価格交渉についてはあまり敏感でない傾向があります。
7. 仕入れ品について充分な情報を持っていない場合
製品のコストやその製品の需給状況、あるいは仕入れ候補ブランド間を比較検討する基準について、充分な情報を持っていない買い手は価格感応度が低いです。
言い換えると適正な価格水準を判断する基準を持っていないとも言えます。
逆に、買い手が需給状況や仕入れ品のコストを正確に把握している場合は、価格交渉に対して容赦ない姿勢を持つ傾向にあります。
8. 仕入れ決定者の関心が価格以外の場合
価格感応度は、その企業の仕入れ担当者や決定者の考え方によってある程度決まりますが、この考え方には大きなばらつきがあります。
購買部は仕入れコストをどれだけ削減したかによって評価されることが多いため、仕入れ価格に関心が集中しがちです。
しかし、例えば、工場長などは工場の生産性に関心があり、仕入れに関してもより長期的な観点から決定を下すことがあります。
以上、本記事では原理原則に立ち返り、ポーターの「競争の戦略」をもとに、価格感応度の低い顧客特性を8つ紹介 しました。
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