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買い手交渉力の8つの源泉

優位に事業を展開し高収益を実現するためには、自社にとって優位な力関係を構築する必要があります。

いわゆる「交渉力」と言われるものです。

本記事では、原理原則に立ち返りポーターの「競争の戦略」をもとに、「買い手」の交渉力の源泉を紹介します。

今後の競争優位を築くための戦略検討に役立てていただければと考えています。


買い手交渉力の8つの源泉

1. 買い手業界の企業数が少なく、売り手総取引量の大半を占める
2. 製品が買い手コストの大半を占める
3. 製品が汎用品 (差別化が難しい製品)
4. スイッチングコストが低い
5. 買い手の収益性が低い
6. 買い手が川上統合に乗り出す姿勢を示す
7. 買い手側の品質に影響軽微な製品
8. 買い手が十分な情報を持つ


1. 買い手業界の企業数が少なく、売り手総取引量の大半を占める

売り手の総取引量の大半を、特定の買い手が占めている場合、買い手の取引が売り手の経営に大きな影響を与えます。

そのため、売り手は買い手に対して強気に出ることはできず、売り手にとって悪条件であっても、それを飲み込まざるを得ません。

中でも、売り手側の固定費が大きく、高稼働率を維持することが重要な事業である場合、買い手に対して強気では出れなくなります。


2. 製品が買い手コストの大半を占める

買い手側のコストインパクトが大きい製品の場合、しっかりと複数製品の比較検討をしたうえで、選択的に購入する傾向にあります。

逆に、買い手のコストに占める割合が小さい場合には、価格意識は低い傾向にあります。


3. 製品が汎用品 (差別化が難しい製品)

差別化要素の少ない製品の場合は、いつでも代わりの供給業者を見つけることができるため、供給業者同士を競い合わせ、価格を下げる傾向にあります。

一般印刷業者や物流業者などはこの傾向にあります。


4. スイッチングコストが低い

スイッチングコストが高い場合、買い手は現在の調達先からの製品調達を続ける方が経済合理的であるため、買い手の交渉力は弱くなります。

逆にこのコストが低い場合には、いつでもスイッチングできるため、是々非々で有利な条件があれば買い手はそちらの製品に切り替えることができるため交渉力が強くなります。


5. 買い手の収益性が低い

買い手の収益性が低い場合、購入コストをできるだけ低く抑えようとします。

そのため、供給業者への圧力が強まる傾向にあります。

一方で、収益性が買い手は一般的に価格におおらかな傾向にあります。


6. 買い手が川上統合に乗り出す姿勢を示す

買い手が川上統合の姿勢を示すと、商取引における譲歩を売り手が側に要求することができます。

要は、購入している製品を「内製するぞ」という脅し(=売り手の収益機会を減らすという脅し)をかけ、より優位な条件での取引を要求するということです。


7. 買い手側の品質に影響軽微な製品

買い手の製品の品質が売り手の製品によって大きく左右される場合には、買い手は一般的に価格にうるさくない傾向にあります。(価格よりも品質などを重視)

例えば、医療機器など典型例であり、製品の品質によって人命を左右してしまう場合があるため、価格に対する優先度は高くありません。

一方で、逆に買い手の製品の品質に影響が軽微な製品の場合、どこの会社の製品でも変わらない、安いものを選ぶ傾向になります。


8. 買い手が十分な情報を持つ

買い手が、製品の需要動向、市場価格、売手側のコスト構造について十分な情報を持つ場合、買い手は有利な価格提示をロジカルに突きつけることができます。


以上、本記事では原理原則に立ち返り、ポーターの「競争の戦略」をもとに、買い手交渉力の8つの源泉を紹介 しました。


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