成功するM&A ~提示価格・買収価格の考え方
前回の記事では、M&Aの目的類型やシナジー検討のフレームワークについてご紹介しました。
本記事では、提示価格・買収価格の考え方をご紹介させていただき、貴社内の検討に役立ててもらえればと考えています。
デューデリジェンスなどを通して、対象会社の実力を分析した後で、次のステップとして価格交渉が待っています。
外部のM&Aアドバイザリーを活用している場合には特に困らないかもしれませんが、そうではない場合、提示価格をどのように考えればよいのかという観点で困られる方も少なくありません。
提示価格・買収価格決定のステップ
提示価格や買収価格を決定するステップは、大きく3つに分けられます。
なお、以下のステップは一般的にはデューデリジェンスの中で並行して行われることが多いです。
1 スタンドアロンの価値算定
2 シナジーを考慮した価値算定
3 提示価格の決定
1 スタンドアロンの価値算定
① “売手側作成”事業計画に基づく企業価値・株式価値算定
買収交渉というのは売手側あってのことですので、売手の期待値を抑えておく必要があります。
そのため、まず売手側がどの程度の企業価値・株式価値を想定しているかを算定していきます。
売手側から受領した財務諸表や事業計画を基に、ディスカウントキャッシュフロー(DCF)法や、類似会社比較法(EV/EBITDA倍率)等を活用して、企業価値・株式価値を算定します。
② “買手側修正”事業計画に基づく企業価値・株式価値算定(シナジー考慮前)
一方で、対象会社から受領した事業計画には、根拠が薄いバラ色の計画が立てられていたり、買収価格を吊り上げようとして意図的に高い成長を見込んだ計画を策定していたりするケースも多々見受けられます。
そのため、買手側が改めて事業環境や競争環境などを分析し、買手側の見立てにおいて事業計画を修正(修正事業計画)する必要があります。
それらの修正事業計画に基づき、企業価値・株式価値を算定していきます。
2 シナジーを考慮した価値算定
一方で、買手側が”叩いた”事業計画で算定した企業価値・株式価値そのままでは、売手側が納得するケースは少ないですし、更に言えば他に買手候補がいた場合ビットで負けてしまうことも容易に想定できます。
そのため、シナジーを織り込んで再算定する必要がでてきます。
③ シナジー定量化、および実現可能性の分類
デューデリジェンスなどの分析なども通し、このタイミングでは想定されるシナジー案は出揃っていると思います。それらをしっかりと定量化していきます。
一方で、それらのシナジー全てが、実現可能性が高いこともありませんので、一定の基準をもって、実現可能性を[高]・[中]・[低]・[定量化不可]等と分類していきます。
④ シナジー含む企業/株式価値の算定
実現可能性が[高]・[中]のものを織り込んで、シナジーを考慮した企業価値・株式価値を算定します。
これも絶対的な正解はありませんが、実現可能性[低]を”含める”ケースや、[中]を”除く”ケース等もあり、状況に応じて判断する必要があります。
3 提示価格の決定
最後に、上記で算定したシナジーを考慮した企業価値・株式価値の”範囲内”で、企業価値・株式価値を提示します。
その際には、ビット競争状況や、本案件の希少性や、本案件の戦略的重要性を考慮して、交渉の成立を死守するのか、価格を重視するのかは是々非々で判断していきます。
以上、本記事では、提示価格・買収価格の考え方をご紹介しました。
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