M&A シナジー検討のフレームワーク
M&Aを成功させるためには、シナジー効果の最大化を目指していく必要があります。前回記事でも、M&Aのよくある失敗として「買収後にシナジーやバリューアップが実現できない」ということがありました。その背景としては、そもそもシナジーをしっかり考えられていなかったという戦略やデューデリジェンスフェーズの問題と、上手く統合できなかったというPMIフェーズの問題があります。
本記事では戦略やデューデリジェンスフェーズにフォーカスを当て、どのようにM&Aのシナジーを考えるべきかについて、そのフレームワークをご紹介します。
シナジー検討のためのフレームワーク
戦略を立案するフェーズやデューデリジェンスのフェーズにおいては、詳細な情報までは取得できないため精緻な分析は難しいですが、それでもある程度ざっくりと、どのようなシナジー効果が期待できるのかは、試算しておきたいところです。
また、シナジー創出は案件ごとに個別性が強いものの、一般的には事業プロセス(研究開発、調達、製造、物流、販売、アフターサービス、人事、ITシステム等)に沿って、売上改善・コスト削減の観点から分析することがオーソドックスなアプローチです。
なお、事業プロセスは、業態や事業によってことなるため、案件で適切にチューニングすべきです。
- 研究開発
- 売上改善:技術移転による新製品・サービスの開発機会増 等
- コスト削減:研究テーマや研究拠点の統廃合 等
- 調達
- 売上改善:-
- コスト削減:調達の共通化によるボリュームディスカウント、原材料の調達の安定化・効率化 等
- 製造
- 売上改善: 製造拠点の最適化による機会損失の防止、オペレーションノウハウ共有による生産性改善 等
- コスト削減:製造拠点の統廃合・共有化、オペレーションノウハウ共有による生産性改善 等
- 物流
- 売上改善: 物流共有化による機会損失の防止 等
- コスト削減:物流共有化による流通最適化、物流拠点のルート最適化 等
- 販売
- 売上改善: 販路の共有化による販売機会増、クロスセル/アップセル、マーケティングノウハウの移転 等
- コスト削減:販売拠点・人員の共有化による効率改善 等
- アフターサービス
- 売上改善:サービスノウハウ移転による機会損失の防止 等
- コスト削減:サービスセンターの共有化でのコスト削減 等
- 人事
- 売上改善: -
- コスト削減:機能統合によるコスト削減・業務効率化 等
- ITシステム
- 売上改善: -
- コスト削減:IT費用の重複解消によるコスト削減、システム統合による効率化 等
- その他
- 売上改善:経営企画機能や、M&A機能などのノウハウ移転、最適なKPI設定とPDCAサイクルの移転 等
- コスト削減:会議体の効率化による、意思決定機能効率化 等
上記に挙げたシナジーの方向性については、あくまで一例にはなりますが、アイデア出しの一助にはなるかと思います。
実際には、それぞれの観点で対象会社の「課題はなにか?」、「成長のためのボトルネックやドライバーは何か?」「そのボトルネックやドライバーに対して、当社はどのような観点で貢献できるのか?」といったことを、入念に検討していく必要があります。
また、そのうえそのシナジーが実現できた時にはEBITDA(またはその他収益指標)がどれだけ改善するのかといったことを、数値で抑えておく必要があります。
以上、本記事ではM&Aのシナジー検討のフレームワークついてをご紹介しました。
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